ローカル線支援はもう限界 ーー 自治体財政の厳しい現実 #エキスパートトピ(中村智彦) - エキスパート - Yahoo!ニュース
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平成筑豊鉄道では、沿線自治体などで構成される法定協議会が、自治体負担の大きさを理由に、鉄道を廃止し路線バスへ転換する方針を決議した。写真:イメージマート

 JR留萌線が2026年3月31日に最終運行を迎え、長年にわたり地域の足として親しまれてきた鉄道が姿を消した。報道では廃線を惜しむ声が多く紹介されたが、全国のローカル線を取り巻く経営環境は厳しさを増している。

 平成筑豊鉄道では、沿線自治体などで構成される法定協議会が、自治体負担の大きさを理由に、鉄道を廃止し路線バスへ転換する方針を決議した。ローカル線問題は感情論ではなく、鉄道にこだわらない持続可能な地域公共交通のあり方を検討する段階に入っている。今回は、最近の報道をもとに考えてみたい。

ココがポイント

石狩沼田駅で31日、116年の歴史を持つ「留萌線」が最終運行となる。直前の週末、駅には別れを惜しむ人たちが集まった。出典:FNNプライムオンライン 2026/3/31(火)

経営難続く「平成筑豊鉄道」  廃止し「路線バス」に転換へ 沿線自治体の財政負担が最も少ない案に決定 福岡出典:TNCテレビ西日本 2026/3/25(水)

一部区間で廃線が検討されている岐阜県の「長良川鉄道」。廃線となった場合の具体的なシミュレーションが始まります。出典:東海テレビ 2026/3/26(木)

JR芸備線の増便やイベントによる経済効果、鉄道運営費を大幅に下回る…「再構築協議会」で報告出典:読売新聞オンライン 2026/3/26(木)

エキスパートの補足・見解

 1987年の国鉄分割民営化後、多くのローカル線は第三セクターなどに引き継がれ、自治体の補助金によって運行が維持されてきた。しかし人口減少と自動車利用の増加により利用者は減少した。さらに、赤字額の拡大に加え、老朽化した車両の更新やトンネル、橋梁といったインフラの維持費も増加している。

 自治体が線路などのインフラを保有し、民間事業者が運行を担う「上下分離方式」が問題解決策として評価された時期もあった。しかし実際には赤字構造は変わらず、「負担の付け回し先が変わっただけ」との指摘も多い。

 限られた財源をどう活用するかという観点から、鉄道存廃は早い段階で検討されるべき課題であった。しかし、鉄道に対するノスタルジーや一部愛好家の強い存続運動により、費用対効果や利用実態を踏まえた第三者的な検討が十分に行われてこなかった側面もある。問題を先送りし、結果的に地域の財政負担が拡大した事例もみられる。

 人口減少社会において公共交通全体の再設計が不可欠である。鉄道にこだわらず、地域の実情に応じた持続可能な公共交通体系を構築することが、現実的な選択といえるだろう。今後、記事にあるような厳しい判断を求められる自治体は増えるだろう。

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