
エンタメ情報誌『ぴあ』が、月刊誌『とぶ!ぴあ』として4月6日に復活する。1972年に創刊した同雑誌は映画や演劇、音楽などの公演情報を網羅的に掲載し、最盛期には約100万部を発行し、若者のエンタメ体験を支えた。 【画像】「雑誌のぴあ」ページを見る(10枚) 2011年にインターネットの普及に伴い休刊したが、15年を経て復刊を発表。書店からの注文が相次ぎ、想定を上回る反響を呼んでいる。なぜ今、「紙」の雑誌を復活させるのか。 復活する『とぶ!ぴあ』は、B5判・約100ページのフルカラーで価格は1000円。初版は2万部を予定しており、「雑誌が売れない」と言われる時代において、15年のブランクを経た復刊としては前向きな部数設定といえる。 東京・大阪・名古屋の三大都市圏の書店を中心に、東宝シネマズの劇場売店やAmazonでも販売する。 紙面ならではの仕掛けとして、「両面表紙」と呼ばれる両開き構造を採用した。片面は、往年の『ぴあ』の顔だったイラストレーター・及川正通氏が手掛ける情報面の表紙で、反対側は人気キャラクターなどのIPコンテンツによる特集面の表紙だ。 それぞれの面からページ番号を振り、情報面と特集面をほぼ半々で構成している。 誌面にはQRコードを配置し、スマホで読み取ると、上映・上演のタイムテーブルや詳細なスケジュール、インタビューの続き、さらにはチケット購入画面にアクセスできる仕様とした。作品情報には、AIがWeb上のトレンドを抽出して付与したハッシュタグも添えられており、今の話題を直感的に把握できる。 雑誌でありながら、デジタルへの「入口」として機能する設計だ。
なぜ今、紙なのか
復刊の背景には、意外にもデジタル側の課題があった。デジタルメディアサービス事業局 局長の岡政人氏は「紙の『ぴあ』がなくなった後、デジタルで復活していることを知らない人がまだ多い」と語る。 休刊した雑誌の提供価値を引き継ぐ形で、2018年にアプリとWebサイトによるデジタル版『ぴあ』を立ち上げた。映画、音楽、演劇、アート、クラシックなど多ジャンルの公演情報を横断的に掲載するメディアだが、その存在は十分に浸透していないと同社は考えた。 2025年4月、ぴあ(東京都渋谷区)の創業者で社長の矢内廣氏から「デジタルを知ってもらうために紙はどうか」というアイデアがあった。当初は、PDF配布やフリーペーパーなど複数の形態を検討したという。 その後、紙面とQRコードを組み合わせた有料雑誌として成り立たないかという議論に発展。飲食店のメニュー確認などを通じて、QRコードが幅広い世代に定着していたことも追い風となった。 つまり、「紙の復権」のために復活したというより、デジタルメディアへの接点を広げる手段として紙を選んだ。また、紙にはデジタルにない価値もある。検索やレコメンドでは、自分の好みに情報が偏りがちだが、紙面をパラパラとめくる中で未知の作品と出会える「偶然の発見」は、紙ならではの体験だ。 とはいえ、紙の雑誌を新たに発行するにはコストがかかる。このハードルを下げたのがAIと自動組版の活用だ。
「テキスト離れの時代」にどう挑むか
もっとも、情報誌には時代の逆風もある。文化庁の「国語に関する世論調査」(2023年度)によると、日本人の6割以上が1カ月に1冊も本を読んでいないという。スマホや動画コンテンツの普及、さらには生成AIの台頭により、長文のテキストで情報を得るという行為自体の優先度が低下している。 文字が読まれないという課題に対し、ぴあは紙に閉じない設計で対応する。特集コンテンツは、AIを活用してインフォグラフィックや動画にも展開し、QRコードから視聴できるようにする計画だ。 「紙だけに閉じないで、取材ソースを動画で視聴できるようにするなど、紙に掲載しきれない分をネットで補完する形も考えている」と岡氏は語る。若年層には、むしろ動画から入ってもらうことを想定しており、紙の雑誌はあくまで入口の一つという位置付けだ。 QRコードのアクセス数を計測する仕組みも用意しているが、具体的なKPIはまだ設定していない。まずは雑誌を発行して、市場の反応を見る。この1年は、その検証期間だという。 紙の雑誌で新規読者を獲得・定着させ、東宝との連携を通じて若年層を含む新たなユーザーに届ける。検索とレコメンドが情報接触を左右する時代に、紙の雑誌は新たな役割を担えるだろうか。 (カワブチカズキ)
ITmedia ビジネスオンライン
AIと自動組版で制作コストを圧縮
最盛期の『ぴあ』は、約100人体制で誌面を制作していた。岡氏は「部数も内容も違うので、単純比較はできない」と前置きしつつも、復活する誌面をAIなしで制作した場合と比べると「従来の3分の1から4分の1程度の人数で回せている感覚だ」と説明する。 特に効率化の効果が大きいのは、情報収集と文章の構成・要約の工程だ。チケットぴあのデータベースに加え、クローリング(Webページの情報を収集する手法のこと)やAIを使って公演情報を取得・整理。大量のテキスト情報を収集・整理する作業は、人手のみだと膨大な時間がかかるが、生成AIの活用によって大幅に短縮できたという。 紙面への流し込みには、自動組版の技術を導入。原稿と各コンテンツをクラウド上で管理し、紙面レイアウトに自動で流し込む。自動組版自体は以前からある技術だが、パートナー企業と組んでコストを抑え、大量の情報を効率的に紙面化している。 一方で、AIでは対応しきれない領域もある。「紙面にした後、情報が正しく反映されているかの最終確認は、人の目視が必要だ。そこは意外とコストがかかる」と岡氏は語る。 さらに、情報がぎゅっと詰まった紙面の印象、アイコン表現、表組みの色合い、文字の大きさや字体といった、いわゆる「ぴあらしさ」は、デザイナーと協議しながら作り込む、人の手による領域だ。AIにぴあらしさを求めても、現時点ではまだ再現できる段階にはないという。
雑誌単体で採算を取るのか?
今回の復活は、雑誌単体で採算を取る設計なのか。ぴあはチケット販売を主力事業とするだけに、雑誌からチケット購入への送客が主な狙いにも見える。だが、岡氏によると、チケットへの送客は派生的な位置付けにとどまり、収益の主軸は広告モデルだという。 雑誌とデジタルの双方でコンテンツの接点を増やし、デジタルメディアのMAU(月間アクティブユーザー数)を向上させることが目標だ。現在、ぴあのデジタルメディア全体のMAUは約600万人だが、AI時代には検索流入が減少するリスクがある。 「検索流入に頼らず、会員と直接つながった状態を維持することが重要だ」と岡氏は語る。紙の雑誌は、検索エンジンに依存しない、読者との接点を生み出す装置でもある。 紙面の検討が進む中で、東宝との連携も動き出した。東宝は映画に加え、アニメやゲームなどIPコンテンツの横展開を進めており、ジャンルを横断して情報を届けるぴあのメディア特性と合致した。「東宝はIPを持っていて、ぴあは情報を扱っている。そこを一緒にやれたら」(岡氏) 東宝が2026年3月に開始した、約400万人の会員基盤を統合した新サービス「TOHO-ONE」と連携し、プレミアム会員(年会費3000円)には『とぶ!ぴあ』のデジタル版を無料提供する。
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