
学習した個体には効果薄く
越冬で飛来するミヤマガラスによる「ふん害」が熊本市中心部で目立つようになり、市が音声を流す対策を実施している。他のカラスの鳴き声を警戒する習性を利用した取り組みで、今年度はピーク時の個体数が前年度比で約15%減となった。一方、人為的な対策を学習した個体には効果が薄くなるという課題が出ており、現場では試行錯誤が続いている。(中村由加里)
1月中旬の夕方。同市中央区の繁華街の路地で、市の委託を受けたスタッフが箱形のスピーカーを道ばたに置いた。一帯には「カー、カー、カー」と、けたたましい鳴き声が繰り返し響き、しばらくすると電線で羽を休めていた大量のミヤマガラスが一気に飛び立った。スタッフは音を鳴らす前後の数を記録して別の場所に向かった。
市鳥獣対策室によると、ミヤマガラスは中国大陸で繁殖し、越冬のために県内に飛来。従来は郊外の山林などをねぐらにしていたが、2018年頃から都市部の街路樹や電柱、電線などで頻繁に目撃されるようになった。要因について同室は「程よい明るさで建物が風よけになり、天敵もいないことから、過ごしやすい環境になっているのではないか」と推測する。
市から委託を受けた佐賀大農学部は19~22年度に被害対策のための調査を実施した。ねぐらの範囲が11月以降に拡大していることを確認し、越冬に伴う個体数の増加が要因とみられるという。
問題になったのは大量の排せつ物で、市民からも相談が寄せられるようになった。市はカラス対策を専門とするコンサルタント会社の協力を得て、追い払う方法を模索。ライトを当てる対策を試したが、すぐに戻ってくるなど効果は限定的だったため、現在は音声での対策に力を入れる。24年度の対策初期と約40日後を比較したところ、1万567羽のミヤマガラスが3882羽にまで減少した。
例年は12月から対策を講じていたが、同月中旬に飛来のピークを迎えることから、今年度は開始時期を2週間早めた。同室の職員が2週間に1度、ねぐらの調査を行い、個体数が多い箇所で重点的に対策を実施。結果は対策初期が9004羽、約40日後が6440羽で、減少率は28%にとどまった。音声に慣れたカラスには効果が薄いことが原因と考えられるという。
このため、鳴き声の組み合わせを変えた複数のパターンを準備したり、電源を入れた後、しばらくして音が流れるようにすることで、人間による対策と気づかれないようにしたりと工夫を凝らしてきた。同室は「他のカラスの声を混ぜるなどして対策を強化していきたい」としている。
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